世界平和第二部085話 秋の伊勢研修4 宇治橋の秘密
清掃奉仕研修ツアーの一行が向かったのは、
http://kenkyu.kogakkan-u.ac.jp/museum/
特別展が行われていました。
「天皇陛下御即位記念『即位礼と大嘗祭―皇位継承のすがた』展」でした。
歴代の天皇が、代々即位される時に、即位の礼を執り行ってきたわけです。
日本書紀の書物の展示や、
日本最古の神社と言われる大神神社や
古い書物にかいてあるものを再現したものが展示されていました。
とても良かったです。
木の枝をそのまま生かして、台を作り、
食べ物のお供えものをその上に乗せていました。
その素朴さがとてもよくて、自然と一体化している感がして
とても感心しました。
さて、
私は、特別展の二階にあがり、
そこで展示してあったものを見て、驚きました。
展示してあったものは宇治橋の模型です。
宇治橋の欄干には「擬宝珠(ぎぼし、ぎぼうし)」が飾られています。
擬宝珠は、端の欄干のところに、玉ねぎのような形の丸くて、
先がとんがっているものが飾られています。
これは日本の伝統的な装飾です。
擬宝珠は、名前からして「擬宝珠=擬+宝珠」で、
宝珠に似せて作られたもの、という意味になります。
では、宝珠(ほうじゅ)とは何でしょうか?
「宝珠」は正しくは「如意宝珠」といいます。
災難を除き、濁水を清くするといわれます。
また、宝珠を得ると、どんな願いも叶うそうです。
欲しいと思っている宝物を作り出すといわれています。
驚いたのは、宇治橋の欄干の擬宝珠のなかがあいている形の
模型があり、そのなかにお札が入っていたのです。
「ええ? 宇治橋のあの擬宝珠にお札が入っているのぉ!?」
そこにいた殆ど全員のツアー客が驚きの声をあげました。
「え~! お伊勢さん、何回もお参りさせて頂いていますが、
宇治橋の欄干の擬宝珠にお札が入っているとは!
知りませんでした。聞いたこともありません!」
と声をあげている方もおられました。
私も知りませんでした・・・。
そのことについて、説明します。
宇治橋には欄干がいくつかありますが、
私達が伊勢神宮の内宮へお参りする時ではなく、
内宮から現世(?)へ帰る時に通行する時の、
現世(?)にもうすぐ着くという時の、
最後から二つ目の擬宝珠に「お札」が収められているそうです。
(調べてみると、それについて書いてあるサイトがありました。
http://www.powerspotnavi.com/mie/jingu-giboshi.htm)
その「お札」というのは、橋の安全を祈って
饗土橋姫(あえどはしひめ)神社のお札・萬度麻(まんどぬさ)が
収められている、ということです。
饗土橋姫(あえどはしひめ)神社というのは今年の初夏にも参拝しました。
50話には、宇治橋の秘密と、饗土橋姫神社にお参りして帰ったことを書いています。
もしかしたら、50話に書いた、宇治橋の行きしな側と帰り側の橋板の違いは、この饗土橋姫神社のお札(萬度麻)が擬宝珠の中におさめられていることと関係があるのかもしれませんね!
後日、一九九三年に行われた第61回伊勢神宮式年遷宮の専属カメラマンの堀出恒夫さんのスタジオに寄せて頂きました。
(私の「世界平和とシンクロニシティの不思議」上中下巻の「著者近影」はこの堀出さんに撮影してもらったものです。)
その時、堀出さんの第一スタジオに、この「お札擬宝珠」の写真のパネルがあるのを発見し、驚きました。
私はスタジオで写真を見て、
「わぁ、堀出さん、
これ、宇治橋のお札の入っている擬宝珠じゃないですか!」
と言いました。
堀出さんは「そうです。よくわかりましたね。」と言いました。
この写真を見て、その意味が解る人というのはあまりいないそうです。
堀出さんは説明してくれました。
20年に一度の神宮の式年遷宮は、8年かけて準備されます。
堀出さんは式年遷宮専属カメラマンとして、その8年間日本の各地で行われるすべての準備となるお祭りと行事をおって、写真を撮影されたそうです。
この伊勢神宮の宇治橋は20年ごとに行われる「式年遷宮の4年前」に架け替えられ、新しい橋ができた時、「お札擬宝珠」がはめられる工程が最後に残してあるのだそうです。
宇治橋渡始式で「お札擬宝珠」をはめられて、はじめて新しい宇治橋を渡ることができるのだそうです。
堀出さんのスタジオには、この「宇治橋渡始式」の前に、橋の端に置かれている「お札擬宝珠」の写真のパネルが飾られていました。
堀出さんの許可を得て、写真をここに出します。
ちなみにGoogle Mapでも、伊勢神宮の宇治橋のところを思いっきりアップに
すると、宇治橋の西の端には「宇治橋鳥居」と「お札擬宝珠」と出ます。
この擬宝珠(ぎぼし)に触れて帰ると、
また参拝に訪れる事ができると言われています。
ですから、内宮参拝のお帰りの際は、
このお札擬宝珠のことを思い出してください。
右側通行で帰る際には、最後から二本目となります。
欄干の色が違っていますし、文字が刻まれていますのですぐにわかります。
感動を心に秘めたまま、私達ツアー参加者は
博物館をあとにして、研修の講演会場へ向かいました。
続く