Smileゆり(柳澤由理)のはてなきブログ

魂と身体から自信を取り戻す・世界平和のメッセージ

世界平和第二部086話 秋の伊勢研修5 大嘗祭の話

神道博物館で「即位礼と大嘗祭展」を見たあと、

研修ツアー参加者全員でバスに乗り、

講演会の会場に到着しました。

 

國學院大学神道学科の加茂正典教授による

大嘗祭」についての講演がありました。

 

毎年秋に行われる、新嘗祭(にいなめさい)というお祭りがあります。

天皇が新しくとれた穀物を天地の神に供え、自らもこれを食する祭事です。

 

その新嘗祭は毎年秋に、天皇によって行われますが、

即位して、一番初めの新嘗祭は、特別に大嘗祭となります。

毎年行われる新嘗祭畿内の官田でとれた米稲を用いて祭りが行われますが、

即位された年の大嘗祭は畿外の田の米稲を用いてお祭りが行われます。

 

加茂教授の講演を聞いていて、驚いたことがあります。

大嘗祭では、神様(天照大御神)に対して、新穀を出しておもてなしをし、

天皇もその時に一緒に食べることになっています。

その建物は、「大嘗宮」といいます。

名前を聞くと物凄い宮殿のように思いますけれども、

実際はそうではありません。

大嘗祭の間だけ建てていて、終わったら取り壊せるくらい

簡単な建物だったようです。

 

床は地面に草を敷いて、その上にむしろを敷くとか、

屋根は何の木を使うとか、細かく古い書物に

書いてあるそうです。

 

この大嘗宮は、五日間で建てる、とか記されています。

 

どちらかというと、シンプルで粗末な建物です。

 

驚いたのは、その大嘗祭のあいだじゅう、

天皇は裸足でこれをとりおこなうこと、が決まっているそうです。

 

大嘗祭は十一月ですが、今は新暦の数え方です。

元々は旧暦の十一月に行われました。

今年は十一月十四日に大嘗祭が行われる、ということです。

これは新暦ですけれども、まず今の、旧暦で

十一月十四日は新暦ではいつなの?と見てみます。

新暦十二月八日になります。

しかし、今の新しい旧暦と、もともとの古い旧暦とは

一か月から一か月半のずれがあるそうです。

 

(旧暦は一つだと思っていました。

実は旧暦はいくつもあって年代ごとに

暦は変わったそうです!)


参考までに→http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0100.htm
(これによりますと江戸時代だけでも暦は5回変わったそうです。)

 

つまり、もともとの旧暦で11月23日というのは、

旧暦の12月8日よりさらに

1ヶ月から1ヶ月半ほど遅くなると

いう計算になります。

 

つまり翌年の1月になると考えると

わかりやすいのではないかと

思います。

 

しかも、時間は夜から朝方の一番寒い時間です。

亥の四刻(午後十時半頃)と、寅の一刻(午前三時頃)

 

一月の激寒の時期。

夜半をすぎた、寒い夜に、

天皇陛下が裸足で、神様(天照大御神)にむかって

新穀をおだしして、もてなすというのです。

 

(今現在もこの書物に書いてある通りのやり方で

大嘗祭が執り行われているかどうか、わかりませんが

少なくとも大嘗祭の真髄としては、

そういう寒い冬の夜に

暖房ひとつない、大嘗宮にて

天皇陛下が裸足で神儀式をとりおこなったという事です。)

 

これが取り決められたのは天智天皇の時代だそうです。

 

私は考えました。

「何故そんな冬の真っただ中の寒い時期の、

しかも寒い夜。

太陽が一番遠くに感じられる時期に

太陽の神ともいえる、天照大御神にわざわざお越しいただいて

おもてなしをする、しかも裸足で、というのは、どういう事だろう?

どうしてなのかな?と思いました。

 

 

加茂教授が講義の時に

 

そんな寒い時期に、粗末な建物を建てて、
室外と同じくらい寒い状態で、
かつて大昔の天皇陛下は裸足で天照大御神
お越しいただいて、おもてなしをする、


・・・ということを話した時、聴衆は驚いて、

部屋の空気が変わったのを感じました。

 

私は自分なりに考えて、答えはこれではないか、と思いました。

 

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丁度そこの頃会館で展示されていたバラの花

真冬の時期の夜、寒くてたまらない時期に

太陽の神、天照御大神にわざわざお越しいただくというのは

どういう意味なのか、その存在価値を考えてみました。

 

まず、1、極寒の寒い時期で、太陽を感じない時期です。

次に、2、時間も夜中の3時、朝方の4時頃に執り行います。

     太陽が遠いと感じる、夜中と朝方の一番寒い時期です。

それから3、天皇陛下が裸足で、行います。

     天照大御神にむかって、食べ物をお出しして、もてなします。

 

1から3のことを考えても、

もっとも太陽が遠くに感じられる時に

太陽の神・天照大御神に対して食べ物をお出しして

おもてなしする、ということです。

 

どうして昼間に行わないのか?

ということ

 

なぜ太陽がもっとも遠い時期、時間に行うか?

太陽が空にあるのが見える時に行わないのはなぜか?

ということです。

 

もしかしたら、空に太陽がある時に、大嘗祭の宮に

天照大御神にお越しいただくと、空から太陽がいなくなる、

と考えたのかもしれません。

 

そして、一番遠い時期におこし頂いて食べ物を召し上がって

いただく、ということは

いちばん来てほしいと感じる時期、お越しいただく祈りを捧げる

という「本気」の「氣」がでやすい、ということかもしれません。

 

昔ですから、今現在よりも天気気象状態が人間の生活に、物凄い影響を与えると思います。だから、祈りも絶対に必要なもの、だったことでしょう。

 

私達は気軽に神社にお参りしますが、昔の、元々の神社の在り方は

兎に角、絶対に大事なことだったのではあるまいか?

 

まさしく、

即位したての天皇にとっては、大嘗祭天皇陛下一世一代の祈りです。

大嘗祭は真剣勝負だったのではないでしょうか。

 

自分が即位して、一番目の新嘗祭大嘗祭なのです。

太陽の天照大御神に対して、

「お願いします」という思いなのでしょう。

 

だから、その思いを行動で表した結果、

天皇陛下大嘗祭天照大御神におもてなしする

あいだじゅう、「裸足で行う」という事により、

「アマテラスさん、わては、

本気でっさかいに。よろしゅうお願い致します。」と

お祈りされるのでしょうね。

続く