第四部27話 ガンダーラ仏(薬師寺8)
薬師寺で買って帰ってきた本『玄奘三蔵と薬師寺』に、現存する最古の『大唐西域記』が京都の興聖寺にある、と書いてあるのを見つけた時は驚きました。
驚きながら、『最古の大唐西域記』の写真をじっと眺めていると、ページを開いている右側のページがふわっと動きました。
私は「わ、落丁か!」と思って、あわてて抜けたページを拾いました。
するとそのページは紙の質が、本の紙質とは違いました。
よくみると、それは本のページではなく、一枚の紙が挟み込んであるのでした。
「あぁ、びっくりした。買ってすぐに落丁か、と思ったわ~。」
とつぶやきながら、その紙をよく見ると、
「ガンダーラ仏ですって?」
その時私の頭に響いたのは、タケカワユキヒデさんの歌声ゴダイゴの「ガンダーラ」でした。
「西遊記」がドラマ化された時の主題歌でした。
ドラマは夏目雅子さんの玄奘三蔵、堺正章さんの孫悟空、西田敏行さんの猪八戒、岸部史郎さんの沙悟浄、いずれもはまり役でした。
「ガンダーラ仏」の写真の紙が、よりによって「最古の『大唐西域記』」のページにはさまっているとは!
もしかして
買って帰って、開いて読んで、すぐに気が付くように、という、
ガンダーラ仏による導き、神の采配かしら?
なんと奇遇な!
シンクロすぎるにも、程がある!
なんと、ありがたい。
それで私は、興聖寺で時々会う画家仲間の友達に、この話を伝えました。
友人も、法要の後、一緒にお茶をしていて、住職の話を聞いていたので、話はすぐに伝わりました。
友人に言いましたら「住職にそれとなく話してみるよ」と言ってくれました。
日本で現存する最古の『大唐西域記』なんて、国宝レベル、重要文化財レベルなので、そうそう簡単には見せていただけるものではない、とは思いますが、いつか機会があれば見てみたいと思います。