第四部13話 勝道上人という人(幸せを祈る1)
私はYouTubeで空海さんの動画を作るために
空海さんの名言集の本「空海『性霊集(しょうりゅう)』抄」
https://amzn.to/3fCpIrg(←アマゾンに飛びます)
(加藤精一・訳 角川ソフィア文庫)という本を書いました。
その本の「はじめに」の、現代語訳をされた
加藤氏が書いておられる文章に目が留まりました。
そこには
「愛読書である坂田光全先生著『性霊集講義』
(高野山出版社刊)をも参考にさせて頂いた」
と書いてありました。
それでアマゾンで調べましたら、
古本屋さんが出品されていて、送料を含めると
5千円弱ほどするので、ちょっと高かったけれども、
購入注文しました。
しばらくすると届きました。
届いた本は物凄い古い本でした。
昭和17年刊の「高野山出版社」の前身の「高野山時報社」刊でした。
昭和17年というと、第二次世界大戦中です。
そんな時期に、こういう本を作り出版するというのは、
大変なことではないかと思いました。
そして本のページ紙はわら半紙でした。
文字は見たこともない旧漢字がごろごろ出てくるのです。
スマホのアプリ「モジナビ」というのがあり、
読めない漢字を手書きで教えてくれるのを利用して苦心して読んでみました。
(今、調べてみると、それは平成になってから、
新訂版が高野山出版から出ている、ということがわかりました。
しかもそれは3万円もするのです!)
リンク↓ リンク先のページの下の方に、あります。
見ていると「沙門勝道(勝道上人)」という僧についての文章が出てきました。
日光の二荒山(男体山)を初登頂され、
日光を開かれた方なのだそうです。
そこには空海さんが勝道上人について
書かれた文章があり、それがとても
情熱的で心うたれました。
空海さんは勝道上人のことを
尊敬されていたんだなぁと思いました。
勝道上人が、困難にぶつかりながら、
何度も登頂挑戦して、
三度目に見事に登頂されたこと、
登頂の願いが叶い、神仏に誓った通りに、
三週間こもって
すべての民、生きとし生けるものすべてに
神仏が福益をくださいますように、と願われたこと、
そして、二荒山山頂から見下す景色や
山からみえる中禅寺湖の美しさが描かれていました。
自然の美しさにふれ、心魂が浄化されていくということが
書かれていました。
それを読んで「これを動画にしたい」と思いました。
(【漫画】空海の教え(言葉)6、勝道上人~諦めずやりぬいた人)
描いているうちに、勝道上人の熱情や力強さを身近に感じました。
また「三度目の初登頂」なる時、
登る前に7日間昼も夜も祈り続けたことや
「自分の欲」ではなく
「すべてのものの幸福」を
「神仏がくださるように」祈り
そのために、
あの誰も登ったことのない山に登るんだ、
ということを祈っている文章が
心を打ちました。
それと同時に「ひとの幸せを祈る」という気持ちが
私も思うようになりました。
勝道上人の動画の絵を描いている期間の、ある夜のことです。
つづく