第四部12話 お守り(後七日御修法だ!4)
後七日御修法がおおむね終わり、大師堂から灌頂院にむかって歩いて行くと、
途中の本坊の門の前に黒い車が停まっていました。
警備の係の人が「車が出ますから、そこをあけてください」と言いました。
横に移動すると、車が出て行きました。
その車には、勅使の方が乗っておられるのがちらりと見えました。
私は頭をさげ、車が出ていくのを見送りました。
それから灌頂院の前あたりに来ました。
そのあたりにいる人に尋ねました。
「あの、これは灌頂院のなかを見るための列?」
「はい、そうです。もうまもなくだと思うんですが」
と、目の前の人は答えました。
「私は初めてなのですが、あの、
今までにご覧になられたことおありでしょうか?」
と尋ねました。
するとその人が
「はい、私は去年中を見ました。灌頂院の中に入ると、御修法の間中に焚かれていた、お線香の煙がもぉもぉとしていて、中はよく見れませんよ。」
と言いました。
「ほぉ、煙が。それは相当お線香をたきこんで」
と言うと
「はい、そのようですね。」
とやり取りをしていました。
その時、お坊さんが一人来られて言いました。
「あの、皆様、本日は灌頂院でお待ちいただいても、拝観できません。」
え、ということは、新型ウィルスコロナの影響を考えて、灌頂院の中はみせてもらえない、ということ。
「うーん、残念。中に入ってみたかったのにぃー」
と思うと残念無念。
でもどうか、来年は見れますように!
昨夜、ネットで調べた時に得た情報では、後七日御修法のあと、灌頂院に特別参拝した時には千円をお支払いする、という話でした。
その時は参拝できないけど、お守りは頂ける、というので、千円をお支払いし、お守りのお札をいただきました。
今年の後七日御修法のリーダーを務められた高僧の方の写真と、後七日御修法の説明の小さな紙と、お守りをいただきました。
写真
このお守りを手に持つと、いまだかってない感覚なのです。
じわじわと、祈願していただいている、という感覚です。
その時はわからなかったけど、実はこの後七日御修法の最後の行列を見物させて頂いた事や、お守りをいただいたことの効果というか、影響は、あとからじわじわと効き目を現しました。
続く