第五部30話 明治天皇陵に行く
ある日、ふと「明治天皇」という人のことを思い出しました。
新型コロナウイルスの流行が起こってから世の中が色々と変動しました。
日本における大変動といえば、
江戸時代がおわって明治時代が始まった時の事ではないか、と思いました。
「その時代、日本人の中で【西洋にむかって扉を開こう】とした時に外国の人々に面と向かったのは明治天皇ではないだろうか?
歴代の天皇では、誰も体験しなかったことを体験し、日々実践していかれたのだから、それは大変なことではなかっただろうか?」
・・・と思いました。
その明治天皇のお墓というか御陵が京都の伏見にあることを思い出して、
ある日、主人と一緒にお参りしてきました。
御香宮神社にお参りして、そこから東に向かって歩いていきました。
「ここから御陵」というところにきたら、大きな高い木がそびえたっていて、空気はきれいで、砂利道も清らかでした。
行く前にウェブで調べた道順では「160段もの、すごい階段をあがる」として大きな階段の写真が掲載されていました。しかし、わたしは主人と一緒に、ゆるやかな坂道のコースを歩きました。それで、ものすごい石段はあがらなくてすみました。
明治天皇陵の前にたどりついた時、正面奥の山に明治天皇が眠っておられるんだなぁという感じがしました。
とても堂々とされていて、胸をはってどこの国の人が来られても、引けをとることなく、誠心誠意、正々堂々と接しておられるような感じが受け取れました。
そこからさらに東隣に明治天皇皇后の「昭憲皇太后陵」があるので、行ってきました。
行く前にしらべたところ、明治天皇の皇后だった方は、優しい方で医療や慈善事業にも心を配った方だと書いてあるのを読みました。
行ってみると本当にそういう「心の優しさ」というのが伝わって参りました。
きめ細やかで優しく、それでいて凛とされていて、日本女性の鑑とでも言うような感じがしました。
「こんなに優しくて品があるんだ。相手をおとしめることなく、たてて、自分もおとしめることなく、気品があって…心優しくて。
なんだろう、こういう空気を感じさせられるひとに、私もなりたいな、と思わせられるような。
すごく良い勉強になった、心の勉強になった」と思いました。
それから帰る時に道を歩いて行くと明治天皇陵の方にもどっていったので、そこで明治天皇を思い、心の中で手をあわせて言いました。
「天皇陛下、【明治天皇】という他の誰にもつとめられない役職をよくぞお勤めになられました。その激動の日本という国の開国していく際のもろもろの出来事の責務を全部その身にひきうけられました。
それは本当にすごい偉業。
だれにでもできるか、いや、だれにもできないことでしょう。
よくぞ全うされました。ありがとうございました。」
そう心で祈った時、胸の奥にほんのりと灯りがともったような気がしました。
明治天皇さんというと変かもしれませんが、
あえて「陛下」といわずに「さん」づけしてみます。
明治天皇さんが「そこをわかってもらえて嬉しい」と言われたかのように感じました。
つづく