第三部039話 神武天皇社(神武天皇4)
その日は雲一つない青空で、
6月なのに真夏の日差しでした。
それでも爽やかに風はふいて
過ごしやすいと感じました。
橿原神宮前駅の改札を出たところで
友達のレンさんご夫婦が車で迎えに
来てくれました。
しばらく車を走らせると
「そが川」という道路標識がありました。
それって凄いですね。メッチャ日本史ですね!」
と言ってるうちに、
大きな建物のかたわらに車が停まりました。
それは「水平社」の「博物館」でした。
レンさんのご主人に案内してもらい、
神武天皇社に行きました。
水平社の隣に、
ちょっと坂になっている処をあがると
「神武天皇社」がありました。
神社ではよく外塀に
神社の名前が書いてある大きな看板が
バァンとかかげてある処や、
神社名ののぼりが幾つも並んでいるような
仰々しい処が多いのに、
この神武天皇社ときたら、
「え、ここなん?」
というさりげなさで存在し、
「え、お参りして良いんですかぃ?」
と言いたくなるような品位の良い気が
漂っていました。
レンさんとレンさんのご主人にとって
ここはとても馴染みのある処だそうです。
境内は清潔感があり、地域の人々に
愛され、大切にされているような雰囲気が
伝わってきました。
拝殿にお賽銭をして、手を合わせました。
神武天皇さんがいらっしゃる、という感じがしました。
「よぉ、来たな」と言って頂いたような気がしました。
「ありがとうございます。」とお礼を述べ、それから
「この後、あなたの息子さんが祀られている多神社に
お参りします。」と心の中で申し上げました。
すると「行くといいよ」と言われたような気がしました。
そのとたん、とてもいい香りがしました。
なんだろう、この香り
高貴な方がいらっしゃる時は、こんなお香を
服に焚き染めてこられるんだろうなぁ、と
いうような感じの香りでした。
でも鼻で匂っている訳ではないのです。
匂いがしてる訳ではないのに、
香りがしている、という気がするのです。
お線香の香りとも違います。
あぁ、神武天皇さんがいらっしゃる、と思いました。
お兄さんの五瀬命がいらっしゃる竈山神社も
高貴な気を感じます。
こちらの神武天皇社は、はっきりと
皇室の風雅な感じがしました。
それでいて、
人々の住まう日常の「ケ」と
かけ離れることなく、
溶け込んでいる感じがとても
素晴らしいと感じました。
それから再び車に乗り、
神武天皇の御子息の名前が
ついている、多神社に向かいました。