Smileゆり(柳澤由理)のはてなきブログ

魂と身体から自信を取り戻す・世界平和のメッセージ

第二部18話「世界平和スピーカー」(南山城1)

興聖寺お能「羽衣」を見せて頂いてから二週間したある日、

 

主人と共に久しぶりに、南山城にある、「タイムドメイン」のスタジオに行きました。

 

タイムドメイン」は、スピーカーを作っているところです。

私は聴覚障害ですからちょっと音には敏感です。しかしタイムドメインのスピーカーだと聴いていても疲れません。

 

そのスピーカーを研究発案し製作しているのが、タイムドメイン

由井啓之(よしい ひろゆき)さんです。

 

由井さんのスタジオに行き、由井さんの開発されたタイムドメインの色々なスピーカーで、音楽を聴くのが好きです。

 

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由井さんと主人と私

由井さんのタイムドメインスタジオには、15年ほど前から
主人とふたりで、年に一、二回は訪れて交流を深めてきました。

由井さんの昔話もよく聞かせてもらいました。

 

50年前、由井さんは大手のオーディオメーカーにいらっしゃいました。そこで、今もマニアの中で語り継がれる「伝説的なスピーカー」を開発されました。

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そしてフランスから勲章を贈られたそうです。

授賞式のためにヨーロッパに渡られ、本場のオペラハウスにも足を運び、本物のクラシック音楽の音響の素晴らしさ、オペラ歌手の歌唱の素晴らしさを耳で聴くだけでなく肌で感じられました。

(その当時日本人がまだ海外に行かない時期でした)

 

由井さんがヨーロッパに渡られた時の写真は、アルバムに丁寧に残してあり、主人と一緒に由井さんから見せてもらいました。写真から感動が伝わってきました。

 

由井さんは帰国されてから、レコードに吹き込んだものを再生するのはとても難しいということに気づかれました。そして更に研究をされました。

 

おりもおり、仕事で身体を壊して二年間入院されました。病室での生活で心の支えは音楽だったそうです。

 

退院されたら職場に自分の机と席がなくなっていたそうです。

もう職場では、由井さんが追求したい、本物の歌、音楽をそのまま再生したい、という思いで研究を続けることはできませんでした。

 

退職され、研究に研究を重ねて、2000年に最初のタイムドメインのオリジナルのスピーカーを開発されました。

従来の大きな四角い箱形のスピーカーではなく、長い円筒のスピーカーを二本という奇想天外なスタイルでした。

 

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タイムドメインのスピーカーと私

タイムドメインのスピーカーの形には円というモチーフが出てきます。由井さんのお話では、音は広がるのですね。

 

池の水面に石を投げ入れたら、そこからまぁるく同心円がいくつもひろがっていきますよね。だから丸い、円の形が出来てくる、というのです。

 

最近、焼き物の庄田窯とコラボした新作スピーカーができました。スピーカーの本体を焼き物の陶器で作っているのだそうです。
今年(2019年)の2月から発売開始されました。

 

これは音が優しく、耳で聴くというよりは

心に響くオーディオ という感じがします。

それだけでなく、インテリアとしても美しく、

眺めているだけでもとてもいい感じなのです。

 

由井さんは50年無欲に淡々と、理想のスピーカーを目指して研究を重ねてこられました。

 

その姿を見ていると、宇治の大吉山での「施行」を思い出すのです。

(第二部3話

http://yulilove.hatenablog.com/entry/2019/05/13/154705

~6話「施行」参照)

毎年一番寒さの厳しい時に大吉山の動物たちに食べ物を施す「施行」を何世代にもわたって50年続けてこられた方々がいらっしゃいます。

無欲にこつこつ50年続けることが、どれだけ尊いことか、と思うのです。

 

ところで、私が初めてタイムドメインのスピーカーで音楽を聴いたのは15年ほど前です。

 

カルメン」のオペラを聴いて、のけぞりました。

「えええ? どこに歌っている人がいるの?

 どこかに隠れているんじゃないの?」

歌手なんて隠れていない、このスピーカーの力だというのです。

あまりにも臨場感たっぷりなので、びっくりしてしまいました。

 

その後、タイムドメインのスタジオで、youtubeのジャズの音楽をタイムドメインのスピーカーで聴かせていただいたことがあります。それぞれの楽器演奏者がどこにどんな風に立っているか、という立ち位置までも聞いて伝わってくるくらい立体的で臨場感がありました。

 

そういうのを聞いていると、何もよけいなものは要らないんじゃないか、という気がしてきます。

 

音楽を純粋に楽しんだり、熱中して演奏したり聴いたりする、リズムに乗る、サウンドが心と身体に響くに任せる、そうすると「戦いなどというものが実にバカバカしいこと」という感じがしてきます。

 

昨年(2018年)夏に松本市での音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル」で感じた、「音楽で世界は平和になる。音楽で世界は変わる」という小澤征爾さんの信念に感動したことを思い出しました。

 

私にとって音楽は平和ととても結び付いています。

タイムドメインの由井さんの50年の活動も広い意味で平和の活動のような気がします。

 

「由井さんが取り組んできはったのは、

ま、言うたら世界平和スピーカーというもんやないかなぁ」

と思います。

 

ほんまにありがたいことやないか、と思いました。
さて、タイムドメインのスタジオから出た後、
主人と私は・・・ 続く