ひろみの青い空6
ひろみはつっかけを足にひっかけるように履いて土間の端まで行き、
そこでつっかけをぬいで裸足になり、二階への階段を上って行きました。
ひろみは足の裏で感じる木のぬくもりにほっとしたものを感じていました。
二階にあがったところの左手にある扉が開いていて、そこがひろみの部屋でした。自分の荷物を置いて一息つきました。そこに階下からおばの声がしました。
「ひろみー、ここにあるのは全部お母さんから私へのもの、なのー?」
「あ、はいー! それはおかあさんからことづかったものでーす。」
ひろみは部屋の入口に立って階段の上から下へ返事をしました。
階段の下にいるおばの史子が腰に両手をあてて、やれやれという顔をしているのが見えました。
「こんなにいっぱい、いちいちいいのに! ひろみ、大変だったでしょ。ありがとう。御苦労さん。一息ついたら裏の山に行きましょう。行くでしょう?」
「あ! 行く行く!」
「じゃあ、準備してね。あわてないでいいからね。」
「はーい。」
ひろみは「あわてないでいいからね」と言う史子の言葉にほっとしていました。
「そうだ、おばさんは急いでやることじゃなくて、ものすごく長い時間をかけてやるようなことばっかりしているなぁ。古墳発掘もそうだし、山の開拓もそうだ。」
と、心の中でおばのことを思い出しながら、かばんからTシャツと長袖のパーカーを出して着替えました。山の上の畑に行く時は虫よけと日差しよけに長袖は必要でした。首にはタオルを巻きました。
「おばさーん、用意できたよー」と言いながらひろみは階段をおりてきました。