ひろみの広い空17
その絵は花はそのまま可愛らしい花ですが、
枝が太くてなっていました。
ひろみは言いました。
「おばさん、花の枝がうまくかけないなぁ、と思って
何度もかきなおして、線をうえから重ねているうちに
どんどん太くなって、あーー、こりゃいかん、と思って
消そうとしたら、色が広がってしまって、
ああー、どうしよう、と思っているうちに、
細い枝が木みたいに太くなってしまったの。
えぇーーん。おばさんみたいにうまくかけないよー!」
ひろみの前に、ふわっと甘い香りがしました。
おばさんといっしょに焼いたケーキが目の前にありました。
気がつけば、ジェームスも一緒に三人でケーキを食べて紅茶を飲んでいました。
「おいしーい!」と、夢中で食べているひろみを見て、史子は言いました。
「ひろみ、あんたは、おなかがすいてる時に『わぁーー!』となって、
おいしいものを食べたら機嫌がなおるんじゃないの?」
言われてみればそうでした。
ケーキを食べているあいだじゅうは「うまく描けなかった!」という思いなどどこかへふきとんでしまうし、食べ終わる頃には、さっき「わぁー!」と言っていたことなんか、忘れてしまっているのです。
「あれー? 本当だぁ。おばさんに言われるまで忘れてたわぁ」とひろみは答えました。
「それだけ、このケーキが美味しかったということだね!おばさん。」
「はっはっは、それはいい!」とジェームスは言い、三人で大笑いしました。
ひろみはこの時、自分のなやみのパターンが少しずつわかってきました。