セラピストのつぶやき トラウマとからだの記憶解放 柳澤由理

もうなんでこんな人生なんやと思ったら宇治のゆりさん所まで来なさい。

ひろみの広い空16

ひろみはおばの史子の家まで帰ってきました。

摘み取った花がいっぱいのバケツをひろみが持ち、

玉ねぎがいっぱいの籠をジェームスが持ち、

食べたお弁当の容器が入った籠を史子が持って

帰ってきました。

犬のコリーが先に家に向かって走って行きました。

ひろみはその後をついて家まで走って行きました。

 

ひろみは史子といっしょにケーキを焼いて、

焼きあがりを待つ時間に、摘んで帰ってきた花の写生をしていました。

 

いっしょうけんめい、いっしょうけんめい描けば描くほど、

目の前の花とはかけはなれていくような気がして、ひろみは「うぅん」と

うなりました。

 

その時、史子がやってきてひろみに声をかけました。

「ひろみ、もうあと2分で焼けるよ。あら、描いてるの。どれどれ?」

「やだ! 全然うまく描けないんだ。見ちゃだめ!」

「あー、そんな言わないで。」

「だめだめ、私はおばさんみたいにうまく描けないんだからぁーーー!」

「そう、わかった。見ないで、と言うなら見ないから。」

そう言って史子が台所へ戻りだすと

「えーー、おばさん、見てくれないのーー!?」

とひろみは言うと泣きたくなりました。

 

「あんたが、見るなと言ったんでしょうがー。どれどれ、見せておくれ」

そう言って見ると、その絵は不思議な絵でした。

 

「ふむー。これはぁ・・・」と史子が絵を眺めていると、奥から

「何をさわいでいるのですか?」とジェームスがやってきました。

「あ、これ、ひろみが描いた花の絵なのよ。見てみて。」

「これですか? 花の絵ですね」と言いながらジェームスが絵を見ると

「うーむ。」とうなりだしました。

 

「なんでおばさんもおじさんも、うーむ、なの?」とひろみが言うと

史子は「あんた、これ、花の絵だと言ったよね?」と言いながら絵をひろみに見せました。