ひろみの広い空13
「うん、そうだね。ひろみも、ひろみのお母さん、くにちゃんも、二人とも頑張っているね。」
「うん、めっちゃ頑張ってる!」
「じゃあね、今度はリラックスしてみて。」
「え? リラックス?」
「ひろみが大人な気持ちでいる時、お母さんも大人の世界を感じていて、
ひろみが甘えたい時に、お母さんも甘えたい。でも甘えちゃいけない、と言う風になるんだから。」
「そうか、わたしがリラックスしたら、今度はおかあさんもリラックスするかもしれないってこと? あ、わかってきた! じゃあね、わたしが疲れてる時、おかあさんは『情けない』ってわたしに言うのは、おかあさんも疲れてるってことなんだね?」
「そうよ。ひろみとお母さん、くにちゃんは、バイオリズムがおんなじなんやわ。だからぶつかるの。」
「同じ者どうしはわかりあえるんじゃないの?」
「そうよ、本当はそうなのよ。だけど、疲れてる時に疲れてる人をはげまそうと思っても、頑張らないといけない!と常に厳しく生きてきたら、はげましが厳しさになってしまうの。」
「ふぅん。わたしとお母さんはリズムが同じ。それと、リラックスしてみる。この二つだね。」
「そうよ。」
「おばさん、凄い! どうしてこんなにお母さんのこと、わかるの? 凄いね!」
「ふふん。だてに、お母さんの姉、というのをやってきた訳ではないよ。」
「え? 難しい言い方、わかんないよ。」
「ごめんごめん。わたしはひろみが生まれるより前から、あんたのお母さん、くにちゃんの姉で、ずっとずっとくにちゃんを見てきたから、よくわかっているんですよ。」
「あ、そうかー。」
「じゃあ、今日は、もう山を下りるよ。日が暮れてしまうからね。」
「えー、もうこんな時間?」
「話しこんでしまったからねー。さぁさぁ、片づけて。」
ひろみはおばの史子の片づけを手伝い、荷物を二人で分担して運んで史子の家まで戻って行きました。