愛されたかったら来なさい 愛されサクセスストーリー

もうなんでこんな人生なんやと思ったら宇治のゆりさん所まで来なさい。

ひろみの広い空12

「道が一本あって、同じ方向をめざして歩いている、というのはひろみとお母さんのくにちゃんが似ているということを現わしているの。」

「えー、似てるかなぁ。」

「似てるかどうかは横に置いておいて、話を聞いてくれる? これはたとえばなしなんだけど、違った価値観の者どうしはめざしている方向が違うから、顔の向いてる方向が違うの。」

「うん。それはわかる。」

「同じ価値観の者どうしは同じ方向をめざしているから、同じ道の上にいる、という設定なの。わかる?」

「うん、理屈はわかった。だけど、わたしはお母さんと同じ道を進むって言うことなん?」

「いいえ、それは違うわ。だけど少なくとも今は同じ方向を向いている状況だと言うこと。これから先もずっとそうだとは言わない。けれども今はそうなのよ、と言ってるの。」

「認めたくないけど。うん。最後まで話は聞くわ。」

「ありがとう。ひろみが左側を通ろうとしたらお母さんは左側に寄って、

ひろみが右側を通ろうとしたらお母さんは右側に寄ってきて、ひろみから見たらお母さんはいつでもひろみの前にでんと来て通せんぼしてるみたいな感じなのね。普段もそうでしょ。」

「おばさん、えー、逆だよ。私が大人っぽい気持ちで冷静な時にはお母さんは『あなたは子供だ』と言うし、私があまえたい時にはお母さんは私に『いい加減大人になりなさい』と言うから。だから逆だよ。私とお母さんはまるで逆だよ。」

「ひろみ、いい? ここが大事なところだからよく聞きなさい。ひろみが気持ちが落ち着いていて大人っぽい気持ちが冷静な時、お母さんはお母さんで、お仕事か何かで、大人の世界を味わっていて疲れていたの。自分のことが『子供っぽい』ような気がして、そういう時にひろみが大人っぽい落ち着いた気持ちでいても、子供のように見えるものよ。それで『あなたは子供だ』と言ってしまったの。本当はおかあさんは、くにちゃんは、自分にむかって『子供だ』と言っていたの。」

「えー、何それー。」

「ひろみが甘えたい気持ちの時、おかあさんも甘えたかったの。だけど、おかあさん、くにちゃんはずっと頑張り屋さんだったから、素直に甘えることができないの。頑張らないといけない、といつでも自分に厳しいの。それで自分に言うようにひろみに言ってしまったのね。『大人になりなさい』と。我慢しなさい、頑張りなさい、と言うつもりなんでしょうね。」

「おばさん、お母さんはどのみちわたしに頑張れ頑張れとばかり言ってるような気がする。」

ひろみは母親の顔を思い出しながら言いました。

「お母さんはいつだって頑張ってる。だけど、わたしだって頑張ってるんよー。」