ひろみの広い空5
ひろみは史子をじっと見ました。
「おばさん、お母さんとおばさんはいくつ年がちがうんだっけ?」
「ん、年のことはあまり聞かないでほしいな。」
「おばさん。」
「冗談よ。ひろみのお母さんの三つ上だよ。」
「三つかあ。中学三年生と高校三年生みたいな。三つて、随分ちがうね。」
「それは、子供の間だけよ。社会に出てしまえばおんなじよ。」
「そうかなぁ。」
「ひろみ、年のことじゃないんでしょ? 本当はひろみのお母さんと私があまりにも違うってことを言いたいんでしょ?」
「うん。すごい。おばさんはすごいな。いつでもどうして私が言おうとしてること、わかるの?」
「ふふん。顔に書いてある。」
「えー!」
「ひろみのおかあさん、くにちゃんと、わたし史子は全然ちがう。性格もやりたいこともちがうけど、でも、まるで双子のようにそっくりだよね。」
「うん。おばさんとお母さんは似てるけど、全然ちがう。」
「くにちゃんは、まじめすぎるのよ。それからひろみも。」
「うーーん。」
「かたい話はここまでにして、足を拭いて荷物をお部屋にね。」
「はぁい」
ひろみは史子から渡されたタオルを受け取りながら、穏やかな胸の内と、気持ちのいい足の感触をかんじていました。