二人の女性1 聖子と明菜
いつもみていて腹が立つ相手
いますか?
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人は自分の写し鏡と言います。
ちょっと複雑な鏡です。
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数年前のことです。
ある女性Aさんが
「私、いつも腹が立つんよ」
というので
「誰のことですか?」
と聞きましたら
「友達のB子」
と答えました。
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そのA子さんと友達のB子は
幼馴染の腐れ縁の友達なんだそうです。
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互いにけん制しあっているそうです。
はっきりと目に見えてジャッジしてくるのはB子で
A子さんはB子のパワーに押されて
嫌なことは嫌と言えないのだそうです。
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それだったらB子との縁は切ったらいいのでは?
と思うのですが
なぜかA子さんはB子に呼ばれると会いにいったり
してしまうそうです。
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少し話をお聞きして
なんとなくつかめました。
A子もB子も独身アラフォー同士。
立場が似ているもの同士で
一緒に遊びにいったりするのだけれど
B子の歯に衣着せない言い方で
「あんたはそこが駄目なのよ」とつっこまれる
たびに傷つく、というのです。
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B子さんは
いわば 昭和のアイドルで言えば
「中森明菜スタイル」ですね。
つっぱり、と言いますか
はっきりしてるんですね。
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そしてA子さんは 話し方とか
立ち居振る舞いが「松田聖子スタイル」
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と言いましたら、
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A子さんは
「そう! B子は本当に中森明菜タイプ!
百恵さんのタイプと言ってもいい。
ところどころ
話し声に どすが利いてる!」
と 大喜びです。
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A子さんが持っているという
B子の写真数枚を見せて頂きますと
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「あれ? 明菜っぽいけど、聖子路線?」
と 思いました。
B子さんの写真が何枚かありましたが、
ぶりっこ聖子路線の演出をしているのです。
その中で1枚だけ「明菜っぽい」ものがありました。
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「これは?」と聞いてみました。
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A子さんはこれを見て、
「あぁ、これはB子本人は気に入ってないけど
まわりから好評な写真、ということで
『あんた、どう思う?』と聞いて送ってきたの。」
と答えました。
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それから声をひそめて
「だけどね、実は これが一番彼女の普段の表情を
出している写真なんよねー。
ほかのいかにもお姫様~の
ぶりっこしてるのとは違うでしょ。
これが彼女の普段のよさなの。
明菜タイプなの。
しっとりしてるから百恵タイプともいえる。
本人はこれが気に入らないみたいなんだけど。」
と言いました。
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それを聞いてわたしは言いました。
「A子さん、あなたは
B子さんのよさを理解しているんですね」
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A子さんはびっくりしました。
「え、なにを! いつも喧嘩の一歩手前で、
仲良くなんかないんですけど!」
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「まぁ、そうかもしれませんが。
しっとりしていてどすが利いてるタイプ
だと見抜いていて、
でもB子さんはどこかで自分がきらいで
ふわふわの松田聖子さんタイプになりたいと思っておられる。
あなたはB子さんが聖子ちゃん的なぶりっこされるのを見て
『そんなの柄じゃないよ、
あなたはあなたのまま行きなさい』と言いたいんですね。」
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A子さんはそれを聞いて
「そう! そうなの! なんでカメラを向けられると
ひと昔のアイドルみたいに、目をぱちくりとあけて
きらきらお姫様~! てやるんだろう。と思っていたの。
そのままのよさがでているこの写真もいいじゃないの、
って思ったの。」
と言いながら しっとりした写り方のB子の写真を指差した。
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そうか、思った通りだったか。と思った私は
A子さんに もうひと押し言ってみようかと思いました。
「それなら、A子さん、あなたもですよ。」
これ、続きます。