ひろみの広い空4
「暑い夏でも足湯は気持ちいいでしょう?」
「うん。それにこれ、美味しいね、普通の紅茶じゃない。これ、なあに?」
ひろみはおばの史子から渡されたマグカップに顔をつっこむようにして言いました。
「いい香りでしょう。これはハーブティ。庭で育てたミントとレモングラスでいれてみました。」
史子はガラスのティーポットを見せました。きれいな緑色の葉と細長い葉が入っていました。
「おばさん、これは普通夏にやらないことだよね。こんなくそ暑い夏の昼間に、あたたかい足湯とあたたかいハーブティなんて、まるで冬だよ!」
ひろみは誰に話しても信じてもらえないだろうな、と思いました。こんな暑い夏に余計にあつくなるようなことをして、気持ちがいいだなんて。
「でも、ひろみ、気持ちがいいでしょう?」
「うん。なんでかなぁ?」
「それはね、外が暑いでしょう? その暑さに耐えられような優しい温かさだから、体は楽なのよ。」
「ふぅん。足湯とハーブティは優しい温かさか。」
「そうよ。冷たいアイスクリームも美味しいわね。でも温度差が大きすぎて、体には負担になるわ。」
「アイスクリームが負担だったことなんて、私には一回もないわ! いくらでも食べられる!」
「ひろみは若いからなぁ。ふふふ。でも疲れた時にはおばさんの言ってたことはこうだったな、と思い出しなさい。」
「はぁい。」
ひろみは自分の母親には見せないくらい素直なひろみになっていることに気づいて少しびっくりしていました。