ひろみの広い空3
一軒家は山小屋風の家でした。森の中にあるお家といった感じでした。
三段の階段を上がって玄関の扉にたどり着きました。「松本」と表札がありました。
史子は扉を開けてひろみを先に通しました。
「はい、着いた。ひろみ、ご苦労さん。」
「はぁ~、おばさん、やっと着いたぁ!」
二人は玄関で靴をぬがないでそのままダイニングキッチンのテーブルまで歩いて行きました。
ひろみは、母親からおばの史子に渡すようにことづかったいろいろなものが入っている袋をテーブルに置き、そばの椅子に座って足を投げ出しました。
「おばさん、いつも駅からここまで歩いてるの?」
「そうね、大抵は歩くわ。時々マウンテンバイクで行くこともあるけど。」
「おばさん、恰好いい~。」
「ひろみ、わたしのことは『クレア』と呼ぶんじゃなかったの?」
「あれは冗談。」
「冗談でよかったわ。毎回『クレア』と呼ばれちゃたまらないわ。」
「クレア、ごめんね。」
「ひろみ!」
「あははっ。はははは」
二人は笑いました。
「ひろみ、足を洗う? たらいを持ってくるから、足、洗いなさい。」
史子は台所の奥から大きなたらいを取ってきてひろみの足元に置きました。そしてホースの先をひろみに渡しました。ひろみは史子から受け取ったホースの先をたらいの中につっこみました。ホースの先から冷たい水が出て、しばらくするとお湯が出てたらいを満たしました。史子はたらいをはさんで向かい側に椅子を持ってきて座り、靴と靴下を脱いで裸足になり、二人で一緒にたらいの中のお湯の中に足を浸しました。